官庁について分かりやすく解説!
官庁とは具体的に何を指すのか、役所や官公庁との違いはどこにあるのか、正確に答えられない人は多いのではないでしょうか。今回は、官庁についての基礎知識として、具体的にどのような組織が官庁で、どのような役割を果たしているのかを中心に説明します。最後に、官庁で働くにはどのような流れになるのかについてもまとめました。官庁に興味を持たれた方は、ぜひ最後までご覧下さい。
官庁とは
まずは、官庁の定義と役割、「役所」や「官公庁」との意味の違いについて解説します。
官庁の定義と役割
官庁とは、国の事務、国の意思を決定し表示する権限を有する機関のことを指す法律用語です。「意思決定」を行ない、外部にその決定を公示する権限があるという点が大きな特徴であり、行政庁の意思決定をサポートする補助機関や、行政庁の諮問に対して意見を答申する諮問機関とは異なります。
役所・官公庁との違い
官庁と役所・官公庁とは具体的にどのような意味の違いがあるのでしょうか。実は、官庁と役所はほぼ同義です。ただし、役所はより口語的で、公の場ではあまり用いません。逆に、官庁は法律用語ですので、公の場や文書で利用される頻度の高い言葉です。
また、官公庁は、国だけでなく、地方公共団体やその他公の役所も含まれます。官庁は、地方にあっても国の仕事を行なう機関なので、地方も含む官公庁の方が、若干意味の範囲は広いと考えて下さい。
独任制官庁と合議制官庁
官庁は国の機関であることは分かりましたが、1人でも「官庁」となる場合があることはご存じでしょうか。
官庁は、構成される官吏(かんり)の人数によって、独任制官庁と合議制官庁という区分に分かれます。独任制官庁とは、1人の人間だけで構成される官庁のことです。独任制官庁の例としては、内閣総理大臣、各省大臣、税務署長、検察官などが挙げられます。
内閣総理大臣も官庁のひとつと言われると、少し混乱する人がいるかもしれません。ここで、もう一度、官庁の役割について思い出しましょう。官庁は「国の意思を決定し表示する権限を有する」機関です。この機関に複数の人がいると、意思決定は全員で合議を図ってからになるため、意思決定にどうしても時間がかかります。
しかし、1人だけの場合、意思決定は1人で行ない、その後トップダウンで命令が下されるため、意思決定のスピードが格段に速くなるということはご理解いただけるのではないでしょうか。
行政機関のトップを独任制にすることで、意思決定がスピーディーになり、行政を進めていく上では効率が上がります。ただし、その意思決定が恣意的に行なわれるという危険性もある点が、独任制のマイナス面です。
合議制官庁は、複数人の官吏が合議して運営する官庁のことです。例としては、公正取引委員会や電波監理審議会などが挙げられます。多くの有識者を集めてより良い意思決定を行なうことができますが、独任制に比べて時間がかかる点が難点です。
官庁の分類と種類
官庁の分類として、独任制官庁と合議制官庁の例を解説しましたが、その他にも官庁にはいくつかの分類・種類が存在します。ここでは、分類ごとに、官庁の種類についてまとめました。
行政官庁と司法官庁
官庁のうち、行政権に関する権限を持っている官庁を行政官庁と言い、司法権に関する権限を持っている官庁を司法官庁と言います。行政官庁の例としては、内閣、内閣総理大臣・各省大臣、各庁の長官、各行政委員会、税務署長などがあり、司法官庁の例としては、裁判機関としての裁判所などが挙げられます。
中央官庁と地方官庁
権限の範囲で官庁を分類すると、中央官庁と地方官庁に分かれます。中央官庁とは、権限の範囲が全国に及ぶ種類の官庁のことです。例えば、内閣、内閣総理大臣・各省大臣、各庁の長官、各行政委員会などは、全国にその権限が及ぶため、中央官庁と言えます。
一方、地方官庁は、その権限が定められた特定の区域のみに限定されます。地方官庁の例としては、税務署長などが挙げられます。
少し混乱しやすいポイントですが、地方官庁とは言ってもあくまでも国の事務に関する仕事を行なうのであり、地方行政の事務をするわけではありません。例えば、県庁や市役所などは地方自治体の仕事を行なう官公庁の一種です。地方官庁の税務署長は、国の税務にかかわる仕事をしているのであって、地方の仕事をしているわけではない点に注意しましょう。
普通官庁と特別官庁
行政官庁のうち、行なう事務の性質によって分類することも可能です。普通官庁とは、行政庁のうち、内閣総理大臣など普通の行政事務を司る官庁のことで、一般官庁とも呼称されています。特別官庁とは、会計検査院や税務署のように、特殊な事務を司る官庁のことです。
主な中央官庁(中央行政官庁)の役割
官庁の分類と種類について整理してきましたので、次に、主な中央官庁(中央行政官庁)の役割について解説します。
内閣府
内閣府とは、中央行政官庁のひとつです。その役割は、内閣及び内閣総理大臣の重要政策に関する事務を補佐することであり、目立たないのですがかなり大きな権限を持っています。
各省庁だけでは、縦割りでなかなか省庁同士の連携が難しい部分がありました。しかし行政改革によって内閣府が重要政策についての省庁を超えた横断的な調整をするようになり、政策の推進がよりスムーズになりました。重要政策を迅速かつ強力に推進するため、独任制官庁の「特命担当大臣」が置かれている点も、内閣府の大きな特徴です。
例えば、第4次安倍第2次改造内閣では、内閣府特命担当大臣(金融)、内閣府特命担当大臣(地方創生・規制改革)、内閣府特命担当大臣(クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)などが見られます。
また、重点的な対策が必要な専門分野(財政経済対策、地方創生、知的財産戦略など多岐にわたる重要政策)の企画立案の実務面についても、内閣府は重要な役割を果たしています。
別の中央行政官庁である内閣官房は、総合戦略機能を持ち、内閣・内閣総理大臣が各省にリーダーシップを発揮する際の総合的なサポートを担っています。しかし、専門的な分野での企画立案など実務面に目を向けると、内閣府がその力を発揮しているのです。
内閣府の重要なもうひとつの役割は、重要政策に関する会議の開催です。議長は内閣総理大臣あるいは内閣官房長官。会議のメンバーには関係閣僚や有識者が入り、重要政策に関する会議が進められます。
内閣総理大臣・各省の国務大臣
内閣総理大臣と各省の大臣は、内閣を組織し、ひとりひとりが担当分野における意思決定権を持っています。内閣自体は合議制官庁ですが、内閣を構成する各大臣は独任制官庁です。
内閣総理大臣は内閣の長として、内閣をまとめ上げる使命があります。また、強力なリーダーシップを発揮するために、多種多様な権限を保持。また、内閣府や復興庁などの長という地位にも就いています。
各省の国務大臣は、内閣総理大臣より任命。内閣府と復興庁及び総務、法務、外務、財務、など11省の主任大臣です。事務及び職員の服務について統括の権限を持つ他、主任の行政事務についての法律に関する閣議請議などの権限を持ちます。
各庁及び各庁の長官
各庁とは、内閣府設置法及び国家行政組織法によって定められた国家行政機関のことで、府または省の下に設置される機関のことです。庁の例としては、内閣府の下に設置されている宮内庁や警察庁、金融庁、消費者庁。財務省の下に置かれた国税庁、文部科学省の下に置かれたスポーツ庁、文化庁などもあります。
各庁の長官は、内閣総理大臣や各省の国務大臣と同じく独任制官庁であり、意思決定を行ない、担当分野の行政事務を推進する権限を保持。行政事務を潤滑に進められるよう、独任制を活用して迅速な意思決定を行なっています。
宮内庁とは
内閣府外局のひとつである宮内庁は、多くの官庁が集まる霞が関ではなく皇居の中に置かれています。主に皇室関係の国家事務と天皇の国事行為に関する事務を担当している省庁です。内部部局として、天皇・皇后両陛下を担当する侍従職や、儀式を担当する式部職などの役職があります。また国有財産である陵墓や桂離宮などといった管轄地の管理や、雅楽や鵜飼などの伝統芸能の保護を担うなど幅広い役割が与えられた組織です。
各行政委員会(国に設置される機関)
公正取引委員会や国家公安委員会などの国に設置される各行政委員会は、合議制官庁のひとつとなります。行政委員会が設置されている行政分野は、国家公安委員会のように政治的中立性の確保が強く必要な分野や、公正取引委員会のように特に慎重かつ公平な事務処理が必要な分野などです。
国家行政組織法3条で定義されている委員会には、公害等調整委員会(総務省)、公安審査委員会(法務省)、中央労働委員会(厚生労働省)などがあります。内閣府設置法49条・64条で定義されている委員会には、公正取引委員会(委員長は認証官)、国家公安委員会(大臣委員会)などです。
国家公安委員会とは
国家公安委員会は、国の警察行政における最高位を担う機関です。内閣総理大臣の所轄の下、内閣府外局のひとつとして位置づけられています。委員長は国務大臣が担当し、5人の委員で構成されている合議制の組織です。主な役割として警察庁に対する管理監督が挙げられ、警察制度の企画立案や警察官の教育などにかかわっています。また広域に亘る事件など、地方組織への調整を行なう必要がある場合も、国家公安員会が国の権限においてその任を果たしている機関です。
主な地方官庁(地方行政官庁)の役割
ここからは、主な地方官庁(地方行政官庁)の役割について解説します。この章で取り上げる地方官庁は、税務署、法務局、地方運輸局、管区気象台です。
税務署
税務署は、国税庁の使命である円滑な税務行政の推進について、それぞれの担当エリアで実務を担う地方官庁のひとつです。税務署の主な仕事は、個人・法人・資産の税金課税、税金の徴収など。税金をスムーズに徴収し、滞納者にはそれぞれの事情に応じた滞納整理を進めます。
その他、申告の相談や税務調査の実施、会計処理の税法適用可否、更生指導なども推進。また、酒類の製造・販売に関する免許申請・審査も税務署の仕事です。
法務局
法務局は、特定のエリアにおいて、不動産や会社などの登記を行なうのが主な役割です。また、一般からは見えない部分ですが、戸籍や国籍に関する処理についても、実際に手続きを行なう区市町村の役所に指導などを行なっています。
また、国の行政などが原告となって訴訟を起こす場合は、法務局の職員が統一方針の下で訴訟活動を推進。また、他の行政機関からの相談を受けるなどして、法的な問題を事前に解決することもできます。
地方運輸局
地方運輸局は、本局などが10ヵ所、運輸支局等が52ヵ所ある組織で、国土交通省の下位組織です。地方運輸局の主な役割は、観光政策(基本的・広域的)の企画立案、鉄道・自動車・海運など交通運輸の安全確保に関する業務を担当します。運輸支局は、担当地域での公共交通や事業振興などの実務や自動車・海運の現場業務を行ないます。
管区気象台
天気や天気予報業務など、そのエリアで気象事務を行なう地方官庁のひとつ。災害の防止や交通安全の確保、産業の発展など、国民の福祉に役立つよう日々気象事務を進めています。気象事務の主な業務は、気象予報は注意報・警報の発表などです。
官庁で働くための方法
最後に、官庁で働きたいと考えている人のために、官庁で働くための方法について紹介します。
まずは公務員試験を受験
官庁の仕事は、いずれも国家公務員の仕事です。そのため、まずは国家公務員試験に合格することが、官庁勤めの第一歩となります。国家公務員試験は、総合職・一般職・専門職に分かれており、総合職は30歳未満、一般職は40歳未満まで受験可能です。専門職試験は、各専門分野により条件が違います。
採用試験は一次試験と二次試験があり、両方に合格すると次のステップとして採用予定の官庁訪問を行ない、各府省庁が独自に実施する面接を受けます。
官庁にもあるインターンシップ
実は、官庁にもインターンシップがあります。毎年夏頃に実施されるインターンシップは、内閣人事局の専用サイトでまとめて各省庁の募集要項が掲載されるため、そのサイトからメールなどで申込むことが可能です。募集期間は5月の大型連休明けからが多いため、インターンシップに参加したい人は、4月末前から内閣人事局のサイトをチェックしましょう。
公務員試験合格後の官庁訪問
採用試験で二次試験まで突破できたら、官庁訪問の開始です。官庁訪問では、各官庁が面接を行ない、最終合格者は業務の説明などを受け、お互いにマッチングをし、より希望に適した職場への就職を目指します。業務内容は納得できるまでしっかり確認し、自分が本当に行きたい官庁はどこなのかを決定しましょう。
官庁に関する知識を一通り解説しました。一口に「官庁」とは言っても、内閣総理大臣など1人で官庁となるケースもあるなど、少々複雑に思えたかもしれません。官庁についての知識を整理するきっかけにしてみて下さい。
※この記事は、2019年(令和元年)11月時点の情報に基づいて作成されています。
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