消防署ってどんなところ?働く人や車を紹介
「火事と喧嘩は江戸の華」や「地震、雷、火事、親父」などと言った言葉が残っているように、昔から火事は我々の生活に身近で起きる大変怖い災害のひとつです。この火事から私たちを守ってくれるのが消防署に勤める消防士。ここでは消防署の歴史と成り立ちや、消防署がどのような働きを持つ機関で、どんな人達が働いているのか、また火災等に対してどのように対応しているのか触れてみます。
消防署とはその歴史と成り立ち
火災や災害時に活動する消防署ですが、消防署について知らないことが多いかもしれません。ここでは消防署がどのような機関なのか、また、消防署がどのようにできたのか歴史に触れていきます。
消防署とはどんな機関
消防署とは消防機関のひとつです。消防機関には、消防本部、消防署、消防団があり、「消防組織法」によって各市町村で、これらの機関のすべて、または一部を設置するように定められています。主な業務は、火災時の消火活動、火災、災害、事故現場からの救助活動、負傷者への救急活動などですが、出動が無いときは、管轄地域の防火、防災の確認調査や、各業務の訓練を行ないます。
消防署の歴史と成り立ち
消防の役割である「火消」の歴史は古く、江戸時代までにさかのぼります。当時は「武家火消」と「町火消」の二つに分かれ、「武家火消」は武家を火事から守る組織で、「町火消」は町屋を火事から守る組織でした。
武家火消には、定火消(じょうびけし)と大名火消(だいみょうびけし)の二つの消防組織があり、定火消は、江戸幕府が1650年(慶安3年)に旗本二人を任命し火事に対応できるよう役人と火消人足を定火消の屋敷に備えていました。
大名火消は1712年(正徳2年)に譜代大名で作られた消防隊で、主に城の周辺と武家屋敷を火事から守っていました。
町火消は、1718年(享保3年)に8代将軍徳川吉宗と南町奉行所大岡越前守忠相が、一般の町屋への火事対策として協議し編成。町火消は町人で作られ、主に鳶職などが中心で、町火消の費用は町人が持ち報酬もありませんでした。当時は1万人近くの火消が活躍し、その中には「いろは48組」や本所・深川の16組もいました。
その後、武家火消と町火消は明治維新により廃止され、町火消は、1872年(明治5年)に「消防組」へと改組。1881年(明治14年)に東京警視庁が警察・消防の事務を行なうことにより、消防組織の基盤ができました。
大正時代になると、東京、大阪の他に横浜市、名古屋市、京都市、神戸市にも公設消防署が設置され、昭和になると各都市に公設消防署が設置されてきました。また、消防組は水火災への対応だけでなく防空の任務も加えられ1939年(昭和14年)の「警防団令」により、消防組は「警防団」へと名を変えました。
戦後になると、戦時体制であった警防団は消防組として新たに再スタートすることになります。1948年(昭和23年)「消防組織法」により、市町村長が消防の組織管理をはじめ、これまでの警察管理から「地方自治体消防」移行。1963年(昭和38年)には救急体制の整備が始まりました。その後は消防体制の常備化が進むとともに、事務も組合方式や委託方式を利用し、市町村単位でまとまった消防体制を取る広域化も進められ、各地に消防署が設立されるようになります。
平成に起きた阪神淡路大震災では消防隊員、消防団だけでの対応が難しく、地域住民との協力が必要と言うことを学び、このことから、大規模災害へ対応できるよう全国的な広域応援の仕組みとして「緊急消防援助隊」が創設。2004年(平成16年)に消防組織法が改正され、消防庁が緊急消防援助隊に出動指示ができるようになりました。
今では、今後発生が予測される災害に備えながら消防防災の体制を整え、市町村の消防職員と消防団、住民、各種団体が連携して協力し合っています。
消防署の組織形態について
消防署は、消防庁や消防本部、消防隊などと組織で繋がっています。消防署の組織の形態について解説します。
消防庁と消防署の違いと役割
消防庁とは、国の行政機構である総務省の外局になります。(東京消防庁だけは、東京の行政機関になります)
消防庁は消防職員、消防団員を教育訓練し、火災、地震、風水災害などからの被害を防ぐための制度改革などを推進。大規模災害発生時には災害対策本部を設置し、災害情報を集め消火・救助活動を指示し、関係機関と連携し必要資材の手配運搬を行ないます。
また、テロや武力抗争などが起きたときも国民が避難できるよう、消防に関する応援、地方自治体への指示連絡をして調整を行ないます。
消防署は消防本部に人口と規模に応じて設置された組織で、火災や災害が発生したときに被害現場の第一線に立ち活動。これらの他に、火災、災害の救助活動、緊急救急活動を行ない、日頃から火災、災害予防活動にも努めています。
消防団と消防署の違いと役割
消防団と消防署の大きな違いは、消防団は、会社員・自営業・学生・主婦などのように本業や学業を持つ人達で作られた組織で、消防組織上「非常備消防」。また、消防団員は、非常勤特別職の地方公務員になります。
消防団員は、災害時に対応できるように消火訓練、救助、応急救護訓練をし、火災、災害発生時には、消防署と連携して活動し火災の消火や人命救助の作業補助を行ないます。
一方、消防署は消防に従事した職員の組織で、消防組織上「常備消防」。消防署の職員は地方公務員になります。
消防署で働く人とその役目
火災や災害時に私たちを救助してくれる消防署で働く消防職員は普段どのような業務をしているのか、また隊員たちの一日に触れてみます。
消防署で働く人とその業務とは
消防署には火災時に消火活動を行なう消防隊、危険な現場で救助活動を行なう救助隊、救命処置を行なう救命隊が勤務しています。消防署の職員達は、災害予防のために定期的に工場やガソリンスタンドなどの危険物施設の確認、デパート、ホテルなどで、消防設備が基準通り設置され管理されているかなどの調査を行ないます。
火災が発生したときには発生の原因や損害額の調査、火災メカニズムの実験などの火災原因調査を行ないます。他にも、放水訓練や救助訓練、消火栓、予防水槽の点検。各車両と必要資材器具の点検、様々な災害に対応するための勉強会や体力作りなどをし、緊急事態に備えています。
消防隊員の一日
消防署の職員には、隔日勤務者と毎日勤務者の二つがあります。隔日勤務とは8時30分~翌朝8時30分迄の24時間勤務することで、毎日勤務は平日の8時30分~17時15分の勤務になります。
隔日勤務の場合一例として、一日のスケジュールは以下のようになります。
- 朝礼、体操、運行前点検(8時30分~9時)
- 広報、水利、火災原因調査(9~12時)
- 昼食休憩 (12~13時)
- 訓練、防火指導、事務処理(13~17時15分)
- 夕食、休憩 (17時15分~18時15分)
- 常会、事務処理、体力造り(18時15分~22時30分)
- 仮眠 (22時30分~5時)
- 事務処理、掃除 (5~8時30分)
消防署によっては訓練時間が異なる場合もあります。また、業務中でも火災や災害などの緊急事態のときには業務を中断して、災害現場へ消火、救助作業に出動します。
消防署の火災発生時の対応
火災や災害が発生したときに消防署はどのように対応しているのか、消火に必要な器具や消防車両の種類について紹介します。
火災が起きたときの対応
まず火災が発生し119番に電話をすると、消防署の通信指令室が連絡を受けます。そこで火事か救急かの確認と、現場の状況、連絡者の詳細等を確認します。
その後、通信指令室から各隊員へ連絡が行き現場へ出動。火災現場へ到着後、消火活動、救助活動、救急活動が行なわれます。現場に遠方の病院への救急搬送が必要な場合にはヘリコプターが要請され対応にあたります。消火後には火災の原因の調査を実施。
消防車、救急車は通常であれば制限速度を守りますが、緊急時の場合は最高で一般道では時速80km、高速道路では時速100kmで走行します。
各隊員は消火活動にあたるときは、消防隊員だけでなく現場周辺の人達が怪我をしないように状況確認をしながら迅速に、消火、救急にあたります。
消火に使用する道具器具と消防車の種類
消火活動には主に下記の消火器具が使われます。
- 防護服
- 炎、放射能、有害化学物質などから隊員の身を守る服です。
- 空気呼吸器
- 空気が入ったボンベで、煙が酷い火災現場でも呼吸ができます。
- 三連梯子
- 建物の中への侵入や救助に使います。
- 自動体外式除細動器
- 心臓に電気ショックを与え蘇生する器具です。
- エンジンカッター
- コンクリートや鉄の棒を切るときに使われます。
消防車には以下のような種類があります。
- 化学車
- 化学車(大型)、特殊災害対策車、排煙高発泡車。
- はしご車
- はしご車、空中作業車、屈折放水車。
- ポンプ車
- 小型、普通、水槽付き、梯子付き、送水車、ホース延長車など。
- 救助車
- 救助車(3種)、山岳救助車、救出救助車、水難救助車。
- 指揮・支援系車両
- 指揮隊車、10t水槽車、照明電源車、補給車、重機搬送車など。
- 二輪車
- オフロードタイプで可搬式消火器具、簡易救助器具、資器材収納ボックス、消火器を積載。
なぜ消防署に救急車があるのか?
消防署は、消防車の他に救急車も扱います。元々の成り立ちを考えると消防署に救急車があるのは意外かもしれません。救急車は、どのようにして消防署で扱うようになったのでしょうか。
救急車が初めて登場したのは、昭和初期のこと。最初は日本赤十字社に配置されました。その後、1933年(昭和8年)に神奈川県警察部もとの消防署で運用。当時、消防署は警察署内にありましたが、1948年(昭和23年)に消防組織法が制定されると、警察にあった消防が市町村に移されました。警察から離れた消防署は救急業務も扱うようになり、救急車が配置されました。
消防士、消防団員になるには
火災や災害、事故のような危険現場で働いている消防士や消防団員になるための方法について解説します。
消防士になるために特別な資格はいらない
消防士になるために何か特別な資格は必要ありません。消防士になるには各自治体が実施する「消防士の採用試験」に合格することです。試験の内容や日にちは自治体により異なりますので、事前に確認しておくことが大事になります。
学歴は関係なく受験できますが、東京消防庁は「1類」「2類」「3類」「専門系」に分かれるなど、自治体によってそれぞれ学歴相当に対応した難易度が設けられている場合があります。
地域によっては競争率が高い所もあるので、消防官採用試験合格を目的とした民間の資格スクールや予備校などに通い、合格を目指す人もいます。
消防士は現場で学ぶことが多いので、消防士になってから業務に必要な資格を取らないといけないようになります。例えば、救急救命士になるには、救急救命士国家試験に合格しないといけません。また、消防車両や消防設備に関する資格などが必要にもなってきます。消防士になるには特別な資格はいりませんが、消防士になってからは状況に応じて業務に必要な様々な資格を取らないといけなくなる場合もあります。
消防団員になると報酬手当がもらえる!
消防団員になるために特別な資格などはいりません。参加条件は各市町村の条例に定められていますが、一般的に18歳以上で、参加を希望する地域の住人または、勤務している人ならば性別などに関係なく参加できます。
各地域によって支給額は異なりますが、消防団員になると年額報酬数万円や出動手当数万円がもらえます。また、危険な現場での作業の場合もあるので死傷した場合などのために、公務災害補償設定されています。また、消防団員は退職すると団員の階級と勤務年数に応じ、市町村の条例で定めている退職報償金を支給されることになっています。
※この記事は、2019年(令和元年)12月時点の情報に基づいて作成されています。
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