「インターネット放送」とは?
パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレット端末などで楽しむことができる「インターネット放送」。日本国内で利用できる映像サービスは主に電波放送とインターネット放送の2種類です。どちらも映像で様々な番組を楽しめるという点では共通していますが、放送方法が異なるため、それぞれ特徴があり、得意なことや不得意なことがあります。
そこで今回は、電波放送と比較しながら、インターネット放送の仕組みや歴史、特徴などをご紹介。インターネット放送の魅力について、理解を深めていきましょう。
そもそも、インターネット放送って何?
インターネット放送は、パソコンやスマートフォンなどで映像や音声のコンテンツを楽しむことができるサービスです。まずは、インターネット放送の歴史をはじめ、仕組みなど、インターネット放送について解説していきます。
インターネット放送の概要とその歴史
インターネット放送とは、インターネットを利用して放送される映像や音声サービスのことです。インターネット放送は、1995年頃(平成7年)より放送の実験が実施され、日本国内では1997年(平成9年)に制作会社によってコンテンツ配信が開始されています。
インターネット放送の種類
インターネット放送の種類は2種類。インターネットテレビとインターネットラジオです。インターネットテレビでは、視聴者は映像を楽しむことができ、インターネットラジオでは、視聴者は音声のコンテンツを楽しむことができます。また、インターネットラジオの中には音声配信だけではなく、番組によっては映像も一緒に放送するインターネットラジオも存在。放送内容は多岐にわたります。
インターネットテレビの再生方法(受信方法)
インターネットテレビを再生する方法は、ダウンロードとストリーミングの2つの種類に分けられます。
ダウンロードとは、視聴したいコンテンツを、端末に保存(ダウンロード)したあとに動画を視聴する方法。動画をダウンロードする際にインターネットに接続されている必要がありますが、ダウンロード後は、インターネットに接続していなくても、いつでも動画を視聴することが可能です。一時停止や早送り、巻き戻しなどを自由に行なえることが特徴の再生方法となっています。ただし、動画をダウンロードするための空き容量が端末(パソコンやスマートフォン、SDカードなど)に必要なため、ダウンロード時には十分に空き容量があるか確認してから動画をダウンロードしましょう。
ストリーミングとは、インターネットのブラウザ上で動画を視聴する方法です。ダウンロードと異なり、再生時には常にインターネットに接続している必要があります。端末に動画を保存することはなく、ブラウザ上にアップロードされている動画を視聴するため、端末に空き容量がなくても動画を楽しむことが可能。
ストリーミングでは、動画を再生しながら動画のデータを同時に受信しているため、通信状態によっては読み込むまでに時間が必要なこともあります。また、一度読み込んだあとであれば、再生箇所よりも前に戻って再生することが可能です。端末がバックグラウンドで何か処理をしている最中にストリーミングで動画を視聴する場合では、動画の読み込みに時間がかかることがあるため、「なかなか動画を読み込まないな…」と思った際には、バックグラウンドで動作しているアプリやアップデートがないか、確認してみましょう。
インターネットテレビの放送方法(配信方法)
インターネットテレビの放送方法は、リアルタイム放送とオンデマンド放送の2種類。
リアルタイム放送とは、その名の通り、配信者が配信している映像を、複数の視聴者がリアルタイム受信する配信方法です。
オンデマンド放送では、完成した動画をあらかじめ配信者がインターネット上にアップロードし、視聴者が動画のアップロード先にアクセスすることによって動画を配信します。
比較の前にまず確認!電波放送とは
電波放送とは、文字通り、電波を利用して発信者から受信者に映像を届ける放送方法です。電波放送は、様々な種類の電波がある中で「放送用電波」という電波を使用して、番組を放送。
電波は侵害されやすく、また、有限であることから「無線通信規制」や「国際電気通信条約」などによって、国際的に細かく放送用電波の使用が規定され、この規定の範囲内で電波放送は行なわれています。もちろん、日本も例外ではありません。日本の電波放送の歴史や種類について、ご紹介していきます。
電波放送の歴史
電波を利用した放送は、ラジオとテレビの2つ。ラジオは音声を放送し、テレビは音声を含む映像を放送しています。
そもそも、電波が発見されたのは1888年(明治21年)のことです。ドイツ人の物理学者である、ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツによって、発見され、日本では1897年(明治30年)に松代松之助が無線通信を行なえる機器を開発し、軍や船舶などによって使用されるようになりました。
一般家庭でラジオが聴かれるようになったのは、1925年(大正14年)にNHKによって放送されるようになったのがスタートです。テレビは、1953年(昭和28年)に放送が開始され、36年後の1989年(平成元年)には衛星放送を開始。さらに衛星放送を開始してから14年後の2003年(平成15年)には、地上デジタル放送を開始しました。
ラジオ放送もテレビ放送も、登場した当初は専用機器でなければ、それぞれ再生することはできませんでしたが、放送技術の向上や携帯電話やスマートフォンの普及などにより、視聴可能な端末の種類も変化しています。
テレビ放送の種類
ここでは、電波放送の中でもテレビ放送について解説していきましょう。テレビの電波放送には、大きく分けて「地上波放送」と「衛星放送」の2つに分けられます。
地上波放送とは、地上にあるテレビ局から発信された電波(映像データ)を電波塔が受信し、各エリアに発信する仕組みの放送です。使用している電波の周波数は、470~710MHzであり、視聴者は民間の放送局が提供する番組であれば、無料で視聴することが可能。ワンセグに対応している携帯電話やスマートフォンであれば、移動中にこれらの端末を利用して番組を視聴することもできます。
衛星放送とは、その名の通り、人工衛星を利用してテレビ番組を発信する仕組みを利用した放送です。そのため、衛星放送を受信するためにはテレビの他にも、専用のアンテナやチューナーが必要。テレビにチューナーが内蔵されている場合には、これらは必要ありません。さらに、衛星放送は地上波放送と異なり、番組を視聴するためには配信者と利用契約の締結が必要です。衛星放送は主に4つあり、放送で使用する人工衛星によって、提供する事業者やサービス、周波数などが異なります。
ひとつ目は、BSデジタル放送。BSデジタル放送の周波数は、1,032~1,489MHzであり、2000年(平成12年)から放送が開始されました。BSデジタル放送のBSとは、Broadcasting Satellitesの略であり、放送には、1990年(平成2年)に打ち上げられた「ゆり3号(BS-3)」という人工衛星を利用しています。
2つ目は、東経110 度CS デジタル放送(サービス名は、スカパー!)。東経110度CSデジタル放送は、BSと同じ軌道に位置する、「N-SAT-110」という人工衛星を利用。周波数は、1,595~2,071 MHz であり、視聴者と事業者が契約を結び、有料放送になっていることが特徴です。N-SAT-110は、2000年(平成12年)に打ち上げられました。東経110度CSデジタル放送は略して「CS放送」とも呼ばれ、CSとはCommunication Satellitesつまり、通信衛星を意味します。
3つ目は、東経128度CSデジタル放送と東経124度CSデジタル放送(サービス名は、スカパー!プレミアムサービスとスカパー!プレミアムサービス光)。東経128度CSデジタル放送は、2006年(平成18年)に打ち上げられた「JCSAT-3A」という人工衛星を利用し、東経124度CSデジタル放送は、2012年(平成24年)に打ち上げられた「JCSAT-4B」という人工衛星を利用して、番組を放送しています。いずれの放送も、周波数は1,590~2,070MHzです。
これらのCS放送は、東経110度CSデジタル放送よりもチャンネル数が多く、専門的なジャンルのチャンネルも多く存在していることが特徴。4Kに対応している番組を視聴することもできます。ただし、東経110度CSデジタル放送(スカパー!)でしか視聴できないチャンネルもあるため、注意して契約しましょう。
インターネット放送と電波放送の違いを比較
映像配信サービスは主に電波放送とインターネット放送の2種類ですが、元々電波放送を行なっていた大手のテレビ局も、インターネット放送局を持ち、様々なインターネット放送を行なっています。
ここでは、インターネット放送・電波放送共に、テレビ放送における違いを、それぞれ比較しながらご説明していきましょう。
放送方法の違いによる特徴
インターネット放送は、インターネット回線を利用して動画が配信されます。一方、電波放送の場合は電波を使用して放送を実施。インターネット放送の場合にはパソコンをはじめ、スマートフォンやテレビなどが挙げられますが、電波放送の場合は主にテレビを使用して映像を視聴。映像を視聴する端末にそれぞれ特徴があります。
インターネット放送と電波放送の得意不得意
インターネット放送は、インターネットが繋がる環境であれば世界中どこでも動画を楽しむことができ、動画サービスを利用できる範囲が限定されません。電波放送の場合には、電波塔が発する電波を受信できる環境が必要です。例えば東京都内であれば、東京スカイツリーが電波を発信しているおよそ1,400万世帯で、電波放送を視聴することが可能。
インターネット放送は、視聴時にインターネット回線を利用して、サーバーにアップロードされている動画を視聴する仕組み。そのため、多くの視聴者が同じコンテンツを視聴しようとすると、動画がアップロードされているサーバーにアクセスが集中してしまうため、スムーズに動画を視聴することは困難になることもあります。また、生放送の場合、どうしてもタイムラグが生じてしまい、全く同じタイミングで不特定多数に配信することは、インターネット放送は苦手です。
電波放送で利用する「電波」は、速度がとても速く、配信方式からも多くの視聴者に同時に動画を届ける生放送を得意としています。例えば、スポーツの中継やニュースの速報、記者会見などの生放送は、電波放送の得意とするところです。
インターネット放送と電波放送の視聴者と配信者の関係性の違い
電波放送では、番組を放送するのはテレビ局のみですが、インターネット放送ではテレビ局やインターネット放送局などの企業だけでなく、個人が動画を配信することも可能。
電波放送は基本的に無料で誰でも視聴することが可能ですが、放送される番組の時間帯は決められているため、一度見た番組は、録画をしていない限り再度視聴することができません。しかし、インターネット放送の場合には、動画の視聴権限がコントロールされていない限り、視聴者は、いつでも何度でも動画を楽しむことができます。早送りや巻き戻しが自由に行なえるのも、インターネット放送ならではの特徴。
動画を全体に無料で公開したり、登録会員やURL・パスワードを知っている人のみに限定公開したり、有料にしたりと、発信者側が視聴者をコントロールしやすいのもインターネット放送ならではです。
また、インターネット放送での生放送は、タイムラグが生じてしまうものの、テキストでのやりとりによって、発信者と受信者の両者で双方向に、密にコミュニケーションを取りながら番組を進行することができ、大きな魅力となっています。
著作権法の違い
電波放送は、番組の放送にあたって「放送」の区分の著作権法に留意する必要があります。一方、インターネット放送は、インターネットに通信することによって動画を配信するサービスです。そのため、著作権法において「放送」だけでなく、「通信」の区分においても著作権の許諾を得なければなりません。
その他の違いや特徴
その他には、動画配信にかかるコストの違いが挙げられます。電波放送の製作費はインターネット放送に比べて製作費が高く、反対に、インターネット放送の製作費は電波放送に比べて製作費が安いのが一般的。
特にインターネット放送では、個人が配信する場合があれば、企業が配信する場合もあり、製作費の幅が広く、また画質や音質、番組としての流れなどのクオリティをはじめ、動画の長さも配信頻度も配信者によってまちまちです。
インターネット放送の種類と代表的な映像配信サービス
インターネット放送には、様々な映像配信サービスがあります。ここでは、インターネットテレビ型とユーザー投稿型、ダウンロード販売型、IPTV型の4種類の概要をはじめ、代表的なサービスなどを紹介していきましょう。
インターネットテレビ型
インターネットテレビ型とは、映像を配信している事業者がサーバーにアップロードしたデータをストリーミングによって視聴する方法です。ブラウザからアクセスすることによって視聴することができるもの。
インターネットテレビ型は、パソコンやスマートフォンをはじめ、インターネットに接続したテレビでも視聴することが可能。インターネットテレビ型のサービスで動画を楽しむためには、視聴する際常時インターネットに接続していることが必要です。
インターネットテレビ型には、無料で視聴可能なサービスと、有料で視聴可能なサービスが存在。無料で視聴できるインターネットテレビ型サービスには、USENがサービスを提供しているGyao!、有料サービスにはUSENと楽天が共同でサービスを提供しているShowTimeなどがあります。
さらに、NHKが運営しているNHKオンデマンドもインターネットテレビ型サービスのひとつで、2008年(平成20年)からサービスが開始されました。NHKオンデマンドを利用するためには、会員登録が必要。無料で視聴できるコンテンツをはじめ、月額972円で過去の放送を視聴することができるサービスも提供されています。
対応機種でしか利用できないインターネットテレビ型も存在
特殊なインターネットテレビ型の動画サービスに「acTVila(アクトビラ)」というサービスが存在。acTVilaは、株式会社アクトビラによって運営されていて、日本の家電メーカーが5社と株式会社WOWOWによって出資されている動画サービスです。出資している家電メーカー5社とは、パナソニックをはじめソニーやシャープ、東芝、日立の国内を代表する大手家電メーカー。
acTVilaは、acTVilaに対応している機種でしかサービスを利用できないことが特徴。acTVilaに対応するテレビの機種であれば、会員登録や基本料金、機器レンタルなどをすることなくサービスを利用することができることが特徴であり、魅力となっています。
acTVilaでは、見逃した番組や話題の映画などを視聴可能な他、子どもからシニアまで幅広い世代で楽しめるゲームや、自宅でカラオケなどのサービスも利用可能、渋滞情報なども確認可能です。なお、acTVilaは基本的に無料でサービスの利用が可能ですが、一部有料のコンテンツもあるため、利用時には注意しましょう。
ユーザー投稿型
ユーザー投稿型とは、Googleが提供するYouTubeや、ニワンゴが提供するニコニコ動画などが代表的なサービスとして挙げられます。インターネットテレビ型は、映像を配信するのが事業者であるのに対し、ユーザー投稿型では、映像を配信するのはユーザー(個人)です。そのため、誰でも動画を投稿することが可能。続けて動画を投稿することで番組化し、視聴者(ファン)を獲得することもできます。
YouTubeもニコニコ動画も無料で視聴することができますが、ニコニコ動画の場合には、動画を投稿するためには会員登録する必要があるため、覚えておきましょう。
また、ユーザー投稿型の動画配信サービスも、インターネットテレビ型と同様、視聴時にはインターネットに接続している必要があります。インターネットに接続していない状態では、動画の視聴も投稿もできないので、注意が必要です。
ダウンロード販売型
ダウンロード販売型とは、発信者がインターネット上にアップロードした動画を、受信者がパソコンやスマートフォンにダウンロードして視聴する動画配信サービス。Appleの提供するiTunes storeが、このダウンロード販売型に該当します。
ダウンロード時にはインターネットに接続している必要がありますが、一度端末にダウンロードしたあとは、インターネットに接続していないオフライン環境でも動画を楽しめるのが特徴です。ダウンロードしたあとの動画は、自分の好きなプレイリストに追加したり、フォルダに保存したりすることが可能。ただし、動画をダウンロードして楽しむためには、パソコンやスマートフォンに十分な空き容量が必要なことを覚えておきましょう。
IPTV型
IPTV型とは、Internet Protocol Televisionの頭文字を取った言葉です。IPTV型の動画配信サービスを利用するためには、テレビと動画配信サービスを提供している事業者の専用の機器を利用する必要があり、これが、IPTV型の特徴となっています。
IPTV型の動画配信サービスを利用するためには、テレビを有線・無線いずれかの方法でインターネットに接続しなければ、視聴することができません。また、どの事業者のサービスを利用するのか、はじめに決める必要があります。
代表的なIPTV型の動画配信サービスは、KDDI株式会社が提供する「auひかり」や、株式会社NTTぷららと株式会社アイキャストが提供する「ひかりTV」など。それぞれ利用料金や利用条件が異なります。視聴できる番組やサービス内容も異なるため、IPTV型の動画サービスを利用する場合には、自分の趣味や利用目的、ネット環境などに応じて、加入するサービスを検討してみましょう。
インターネット放送も電波放送もそれぞれに特徴がある
今回は、インターネット放送と電波放送、それぞれの特徴や歴史をご紹介しながら比較を行ない、違いについて解説しました。
インターネット放送は、インターネットに接続できる環境であれば、視聴者・発信者共に世界中どこでも動画を楽しめ、視聴者と配信者が双方向にコミュニケーションを取りやすいことがメリット。ユーザー投稿型の動画配信サービスであれば、誰でも動画を配信可能なことも、特徴のひとつです。
しかし、インターネット放送は、生放送は不得意であり、多少なりともタイムラグが生じてしまうのがデメリット。反対に、電波放送は、配信者や動画を視聴できるエリアが限られるのがデメリットである一方で、生放送が得意というメリットがあるのが特徴です。
インターネット放送には様々な映像配信サービスがあり、ユーザー投稿型のサービスであれば、視聴者としてだけではなく、発信者になることが可能。オリジナルコンテンツであれば動画を利用して収益を得ることも可能なので、テレビの楽しみ方だけでなく、生活スタイルや働き方の幅も変えられる可能性があります。
インターネット放送でも電波放送でも様々な映像コンテンツを楽しむことができるので、それぞれの放送の得意不得意を踏まえて、嗜好や生活スタイル、目的に応じて利用してみましょう。
※この記事は、2018年8月時点の情報に基づいて作成されています。
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