ラジオ局の聴取率の調査方法と特徴
ラジオを聞いていて、テレビの視聴率みたいなものはないのだろうか、と疑問に思ったことはありませんか?自分の好きな番組がどのように評価されているか気になるところです。
ラジオにも視聴率に相当する「聴取率」というものがあり、視聴率と同様調査されて、その数字は一般の人でも見られるようになっています。ラジオの聴取率を目にしたことがある人なら感じているかもしれませんが、ラジオの聴取率は、テレビの視聴率に比べると数字が少ないのが通常です。
しかし、ラジオの聴取率とテレビの視聴率は、簡単に比較できるものではありません。両者には大きな違いがあり、その数字を単純に比較すると大きな勘違いをしてしまいますので、聴取率を見るには正しい理解が必要です。
今回は、ラジオの聴取率について、正しい知識が得られるように詳しく解説します。聴取率と視聴率の違いについて解説したあと、聴取率の調査方法についてもご紹介。4種類ある調査方法それぞれの特徴も解説します。
最後には、ラジオ聴取率の推移についても見ていきましょう。ラジオ離れと言われて久しいですが、実際にどうなっているのか、その傾向についてまとめました。ラジオの聴取率について知りたい人は、ぜひ最後までご覧下さい。
ラジオの聴取率とは
ラジオの聴取率とは一体何なのでしょうか。どういう数字ならその番組は聞かれている、と判断できるのかも含めて順番に解説します。テレビの視聴率との違いについても説明していますので、ぜひご一読下さい。
ラジオの聴取率の概要
「ラジオの聴取率」という場合、ラジオの聴取率を個人単位で計測する「ラジオ個人聴取率」を指しています。計測は、ラジオ局からの依頼を受けて、調査会社が調査するというのが一般的です。
調査会社は、現在ビデオリサーチ社のみが対応しています。また、NHKに関しては、NHK放送文化研究所が独自で調査しており、民間とは違う点が特徴です。
調査方法は、調査票を配布して記入してもらう形式です。個人ごとに、ラジオをどれだけ聴いているかということを、調査期間中ずっと日記形式で記入してもらいます。この調査方法と調査対象者に、テレビの視聴率との差異があるのです。
聴取率と視聴率の違い
テレビの視聴率についてご存じの人ならお気づきかもしれませんが、ラジオの聴取率は「個人」を対象とし、テレビの視聴率は「世帯」を対象としています。この点が大きな違いです。
テレビの視聴率は、テレビに視聴率調査用の機械を取り付けることで計測するため、わざわざ調査票に記入してもらう手間は発生しません。
一方、ラジオはテレビのように自宅に備え付けているわけではなく、自宅外でも聴くことができる携帯性があります。そのため、テレビのように機械を取り付けるわけにもいかず、調査票を記入してもらう方法で調査をせざるを得ません。
テレビは世帯で1台、ラジオは個人で1台という考え方も、この携帯性によるものです。まとめると、テレビの視聴率は世帯ごとの数字、ラジオの聴取率は個人ごとの数字という点に大きな違いがあります。世帯数と人数と母数も違うため、ラジオの聴取率は低めに出るのです。
もうひとつの違いは調査する時間の単位です。テレビの視聴率は1分単位で計測されていますが、個人が日記形式で記入するには限界があるため、5分単位での調査となっています。
ラジオ聴取率の調査方法4種類の概要
ラジオ聴取率の調査方法には以下の4種類があります。
- ビデオリサーチ社による自主ラジオ調査
- NHK放送文化研究所の独自調査
- 民放ラジオ局が共同で実施する「共同調査地区」
- 特定局による「単独局調査」
それぞれの調査について、概要を紹介します。
ビデオリサーチ社による自主ラジオ調査
ビデオリサーチ社による独自調査である「自主ラジオ調査」は、首都圏・中京圏・関西圏の3地区それぞれで調査を行ないます。首都圏は1990年(平成2年)から、関西圏は2001年(平成13年)、中京圏は2002年(平成14年)から調査が開始されました。
調査主体はビデオリサーチ社のため、調査データの所有権はビデオリサーチ社にあります。
個人聴取率調査の他にも、ビデオリサーチ社の独自調査として全国ローカルラジオ聴取状況レポート「J-RADIO」も年1回実施されています。これは、聴取率そのものではありませんが、全国都道府県単位でのラジオ聴取状況がよく分かるレポートです。
NHK放送文化研究所の独自調査
NHK放送文化研究所は、ビデオリサーチ社とは違う独自の聴取率調査を行なっています。この調査では、日本全国を対象としており、テレビとラジオを同時に調査し、アンケート形式での個人調査であることが特徴です。
調査は毎年6月と11月の計2回実施し、その結果はすべて公式サイトにて発表していますので、誰でも確認可能です。ラジオは、NHKラジオ第一の放送についてのみ調査結果が出ています。
民放ラジオ局が共同で実施する「共同調査地区」
ビデオリサーチ社に委託して、民放ラジオ局が共同で実施する聴取率調査もあります。調査主体は共同で依頼している民放ラジオ局のため、調査データの所有権を持つのは各民放ラジオ局です。
例えば、北海道では年1回、地元のAM・FM放送局4社合同で札幌地区にて調査を実施。他にも2017年(平成29年)に仙台地区、2015年(平成27年)には広島県にて共同調査が実施されています。
特定局による「単独局調査」
特定局による単独局調査もあります。KBS京都はビデオリサーチ社の自主調査で関西圏に入っている放送局です。しかし、2014年(平成26年)独自に京都新聞企画事業株式会社に委託して、京都地区の接触率調査を実施しています。このケースは単独局調査の一例です。
ラジオ聴取率の具体的な調査内容
ラジオ聴取率はどのような方法で調査をしているのかについて見ていきます。
- ビデオリサーチ社の調査内容
- NHK放送文化研究所の調査内容
なお、民放ラジオ局が共同で実施する共同調査と特定局による単独調査に関しては、各地域によりばらつきがあるためここでは触れません。
ビデオリサーチ社の調査内容
ビデオリサーチ社の独自調査の内容は以下の通りです。
【自主調査】
- エリア:首都圏(年6回偶数月)、中京圏(年2回・6月12月)、関西圏(年2回・6月12月)
- 人数:各エリア3,000人
- 調査対象者:エリア内で無作為抽出法にて選ばれた男女12~69歳の個人
- 調査方法:携帯型調査票/電子調査票ともに、聴取局名・15分単位の聴取時間、聴取場所を回答
- 調査期間:1週間
携帯型調査票とは、郵送する紙媒体の調査票で、電子調査票とはインターネット経由で入力する調査票です。調査対象者は、1年の調査ですべての対象者が入れ替わるようにローテーションを組んでいます。例えば、首都圏なら年6回行なわれるため、1回あたり6分の1ずつ人を入れ替えますし、関西圏なら1回で半分の人を入れ替える計算です。
集計結果はビデオリサーチ社からニュースリリースの形及び公式サイトで最新データとして紹介されます。
【J-RADIO】
- エリア:全国47都道府県
- 有効標本数:約28,800人
- 調査対象者:ランダムに電話を掛けるシステムを使って調査協力依頼をした1215~69歳の男女
- 調査方法:調査協力の応諾が得られた対象者に対し、自記入式調査票を郵送
- 調査期間:1週間
J-RADIOは、年1回10月に調査が実施され、毎年翌3月ごろに結果が発表されます。聴取率そのものは出ませんが、都道府県ごとの聴取傾向がはっきり出るため、聴取率とともに参考にしたいデータです。
NHK放送文化研究所の調査内容
NHK放送文化研究所の調査内容は、ビデオリサーチ社と違う部分もいくつかあります。まずは調査内容について見てみましょう。
- エリア:全国47都道府県
- 人数:3,600人(12人ずつ300地点)
- 調査対象者:エリア内で層化無作為2段抽出にて選ばれた7歳以上の男女
- 調査方法:配布回収する形式の日記形式
- 調査期間:1週間
NHK放送文化研究所の調査では、7歳以上全員が調査対象となり、ビデオリサーチ社では対象外となる小学生も調査対象です。(12歳以上はビデオリサーチ社も対象)
層化無作為2段抽出とは、調査地点の抽出と調査対象者の抽出の2段階を踏んで対象者をサンプリングする方法で、より全国の「縮図」となるよう工夫された方法です。
ラジオ聴取率の見方と推移
聴取率の調査方法についてご紹介できたところで、ビデオリサーチ社の自主調査の集計内容について詳しく見ていきましょう。集計内容の見方を確認して、実際に聴取率の推移がどうなっているのか確認します。
聴取率の集計内容
ビデオリサーチ社の聴取率結果の集計内容は以下の通りです。
- 全局個人聴取率 (6~24時)
- 聴取場所別個人聴取率 (6~24時:週平均)
- 全局個人聴取率 時系列(過去1年間) (6~24時:週平均)
- 全局到達率<ウィークリーリーチ> 時系列(過去1年間)(5~29時:1週間累積)
- ラジオ接触者の全局聴取分数 時系列(過去1年間)
引用元:ビデオリサーチ社「ラジオ個人聴取率調査データのご紹介 2018年8月度調査結果(2018年7月30日(月)~2018年8月5日(日))」より抜粋
全局個人聴取率では、全局合わせた個人聴取率が2つの切り口で集計されています。ひとつ目は10代、20代という年代で、2つ目はM1(20~34歳の男性)、F1(20~34歳の女性)などマーケティングにも利用される年代層の切り口です。2パターンの切り口は、他の集計でも用いられています。この集計結果では、平日と土曜日、日曜日に分けてラジオ聴取率の傾向が分かるようになっています。
聴取場所別個人聴取率は、ラジオをどこで聴いているかが分かる集計内容です。自宅内か外か、外の場合は車の中かどうかで分類されています。
時系列の全局個人聴取率は、過去1年間分の聴取率の変化が分かる数値で、全局到達率<ウィークリーリーチ>は、1週間に1回でもラジオを聴いたかどうかが分かる数値です。
現在のラジオ聴取率から見た聴取者の傾向
ビデオリサーチの2018年(平成30年)8月度の調査結果を見ても、若者と年配者の間には、明らかにラジオの聴取率や聴取分数に差が出ています。
1週間で1回でもラジオを聴いている割合は、12~19歳では男性30.4%、女性は35.8%と3割を超えた程度ですが、60~69歳では男性79.9%、女性が69.4%倍以上の差が。
接触分数も同じような割合で差が出ていて、世代間で大きな違いがあることがはっきり分かる結果です。また、全体的に男性の方が女性よりもラジオを聴くという傾向も出ています。ただNHK放送文化研究所の調査で見ると、ラジオを聴く人は少ないのですが、ひとりが聴いている時間は長い点が大きな特徴です。
【2015年度(平成27年) 国民生活時間調査の行為時間(抜粋)】
- テレビ:行為率 85.2% 行為時間 3時間52分
- ラジオ:行為率 12.1% 行為時間 2時間44分
- ネット:行為率 22.8% 行為時間 2時間02分
行為率が低いにもかかわらず、ラジオを聴いている人はインターネットよりも多くの時間を費やしていることが分かります。ラジオの特性として、「ながら聴き」ができるという点が、長時間接している理由のひとつでしょう。
近年、インターネット経由の「IPサイマルラジオ放送」でラジオを聴く人が、若年層を中心に少しずつですが増えています。IPサイマルラジオ放送の普及が、若年層をラジオ放送に引き込むきっかけとなるかどうかが、今後の注目ポイントです。
※この記事は、2018年10月時点の情報に基づいて作成されています。
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