保育園に入園前に知っておきたいポイント
ニュースで「認可外保育園」や「待機児童」の話題を見かけると、不安になることもあるでしょう。保育園に入る前にどんな施設があるのか、待機児童は解消されるのか、知っておくことが大切です。そこで、本記事では保育園について詳しくご紹介します。
保育園の基本知識
保育園は、小学校に入る前の子どもの預け先のひとつです。保育と教育のプロに子どもを任せられるイメージがありますが、保育園とはどんなところなのか意外と知らないもの。ここでは、基本的な情報を確認していきましょう。
保育園は児童福祉施設
家庭で母親以外に育児できる人がいれば問題ありませんが、子どもの預け先がなければ育児と仕事の両立は実現できません。そこで利用されているのが保育園。複数の施設がありますが、国の基準を満たした施設で、都道府県や市区町村が運営しているのが「公立保育園」(厚生労働省では公営保育所)です。
「私立保育園」(厚生労働省では私営保育所)は、公立と同等の施設基準や保育料でありながら、延長保育対応や0歳児への保育実施率が高い点が特徴的。他にも、0~2歳を対象とした「地域型保育」や認可を受けていない保育施設、自治体が助成している保育施設、従業員向けの事業所内保育園など種類は様々です。
3月で年長児が卒業するため、新年度の4月は年間で最も募集児童数が多いシーズン。前年の11月下旬頃から申請を受け付けていて、1月には締め切るケースが多く見られます。申請後に審査があり、選考会議を経て入園の内定結果が通知され、面接や健康診断を実施。正式に決定したら、入園承諾書が届き入園となります。年度途中で入園する場合は、スケジュールが異なるので注意しましょう。
保育園の利用状況
厚生労働省は2019年(令和元年)9月に「保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)」を公表しました。保育園を利用している児童数は、2017年(平成29年)に2,116,341人、2018年には(平成30年)2,088,406人、2019年(平成31年)は2,059,132人とやや減少。
保育園の数は、2017年(平成29年)に23,410ヵ所、2018年には(平成30年)23,524ヵ所、2019年は(平成31年)23,573ヵ所と、わずかながら増加しています。単純に数字だけを見ると保育園に入りやすくなったように見えますが、地域によって入園率が異なるのが現状です。
例えば、東京都港区は保育定員の拡大に取り組んだ結果、2019(平成31)度の保育園定員数8,447人で、待機児童数0人を達成しました。一方で、東京都江東区では保育園定員数4,173人に対して、申請者数20,920人と、倍率5.01%の狭き門となっています。
保育園における1日の活動内容
保育園で子どもたちはどんな1日を過ごしているのでしょうか。保育園によって活動内容は様々ですが、一例をご紹介します。
登園したら、健康観察を実施。朝の準備をして保育活動に入ります。おやつや片付けを済ませるとお昼です。昼食後は絵本の読み聞かせをしてお昼寝タイムに。午後のおやつや保育活動が終わるとお迎え時間です。
認可を受けた保育園では国が決めた「保育所保育指針」というガイドラインに基づいて、幼稚園と同等の教育を行なっています。養護と教育一体の保育によって、社会性や心の教育を学んでいるのです。
認可保育園とは?
「認可保育園」と「無認可保育園」という言葉をニュースで目にすることがありますが、どんな違いがあるのでしょうか。まず、認可保育園について詳しくご紹介していきます。
都道府知事に認可された施設
認可保育園は児童福祉法によって設置された施設です。就労や介護などで「保育の必要性の認定」を受けた家庭の子ども0~5歳児の養護と教育を行ないます。保育園は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を守らなければ設置や運営ができません。
子どもと保育士の比率は、0歳児で3:1が基準。1~2歳児では6:1、3歳児は20:1、4歳児以上は30:1となっています。保育士の他に嘱託医を必ず置かなくてはならず、調理業務を委託している施設以外では調理員も必要です。
設備基準では、0~1歳児の乳児室が1.65m²/人、ほふく室は3.3m²/人、2歳児以上の保育室または遊戯(ゆうぎ)室は1.98m²/人の面積を確保しなくてはなりません。他にも、耐火基準や屋外遊技場の設置、保育時間、必要とされる用具の備え付けといった参考基準があります。
基本的には条例によって都道府県・指定都市・中核市が定めるものですが、地方自治体がさらに厳しい基準を定めることも可能です。「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の条件を満たすと、都道府県知事から認可を受けられます。
保育料の決定方法
2019年(令和元年)10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしました。3~5歳児クラスについて、すべての子どもの利用料が無料となります。幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育事業が対象。それ以外の施設に通っている場合は、月額25,700円を上限に無償化になります。期間は原則として、満3歳となった4月1日から小学校に入学する前までの3年間です。
注意しなければならないのが、園に支払う費用が0円になるわけではないという点。通園送迎費や行事費など保護者負担になる費用もあります。食材料費については、年収が360万円未満の世帯、または第3子以降(全世帯対象)はおかずやおやつなど副食の費用がかからないなど、一部免除になります。
また、0~2歳児クラスについては、住民税非課税世帯が無償化の対象です。保育所などを利用している最年長の子どもを第1子として、第2子は半額、第3子は無料です。ただし、年収約360万円未満にあたる世帯では第1子の年齢を問いません。
認可外保育施設等の場合、保育料などが自由に設定されているため、一部無償化となります。3~5歳児クラスは月額37,000円まで、0~2歳児クラスは、住民税非課税世帯を対象に月額42,000円までと定められています。幼稚園や認可保育園、認定こども園などを利用しておらず、居住地の市区町村から「保育の必要性の認定」を受けた場合に限り、無償化されます。
認可外保育園とは?
続いて、認可外保育園についてご紹介します。「認可外」という響きに不安を感じる方は少なくありません。どんな定義があって、どれくらい利用されているのでしょうか。
認可外保育園の定義と利用状況
保育施設は「認可保育園(保育所)等」と「認可外保育施設」の2つに分類されます。認可保育園(保育所)等に該当するのは、認可保育園だけではありません。2015年(平成27年)に「子ども子育て支援制度」がスタートし、「地域型保育事業」が誕生しました。他にも「幼保連携型認定こども園」があり、いずれも市区町村や都道府県知事の認可を受けて設置されたものです。
一方、認可外保育園は一般的に「無認可」と言われることがある通り、都道府県知事や市区町村の認可を受けていません。保育園の他に、託児所や保育室、ベビールームなど様々な名称があり、施設によって保育内容も異なるのが特徴です。保育者の自宅で行なわれたり、少人数で行なわれたりするものも含まれています。
認可外といっても、認可保育園として認められなかったという意味ではありません。認可保育園の制度になじめない子どもたちを預かる施設や、独自の教育プログラムを実施するために認可外で設置されている施設もあります。また、すべての施設は都道府県が行なっている報告徴収や立入調査といった指導監督の対象です。
厚生労働省の「平成28年度認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、認可外保育施設の利用者数は合計で225,328人となっています。ベビーホテル・ベビーシッター・事業所内保育施設を除くと、利用者数は126,996人です。
施設数は5,028ヵ所で、届出対象となっているのは4,638ヵ所。71%の施設に立入調査を実施し、基準適合施設は59%でした。特に不適合率が高いのは、愛媛県100%、東京都90%、岡山市85%となっています。
認可外保育園の保育料と選び方
2019年(令和元年)10月からスタートした幼児教育・保育の無償化は、認可外保育園の利用者も含まれています。住んでいる市区町村で「保育の必要性の認定」を受けた人が無償化の対象です。
上限額は、3~5歳児クラスが月額37,000円まで、0~2歳児クラスは、住民税非課税世帯について月額42,000円までとなります。対象となる施設は、地方自治体独自の認証保育施設やベビーシッター、認可外の事業所内保育所等で、都道府県等に届出をしている認可外施設です。
一時預かり事業や病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業を利用している場合も無償化の対象となります。なお、無償化の対象施設となるためには、国が定めた基準を満たしていなければなりません。詳しく知りたい場合は住んでいる市区町村で確認しましょう。
認可外保育園を選ぶときは、厚生労働省の「よい保育施設の選び方十か条」を参考にするといいでしょう。内容は次の通りです。
- 市区町村の保育担当課で情報収集や相談をする
- どの保育園にするか決める前に必ず施設を見学する
- 外観などの見た目や保育料の安さだけで決めない
- 見学の際は子どもたちがいる保育室の中まで確認する
- 保育園で過ごす子どもたちの表情を確認する
- 保育する人数や経験年数、保育士資格の有無、子どもたちへの接し方を確認する
- 施設内の広さや環境、衛生面、設備を確認する
- 保育指針、給食の内容、保護者とのコミュニケーションについて確認する
- 預けるようになってからも、保育や子どもの様子を確認する
- 疑問や不満をすぐに相談し、誠実な対応をしてもらえるか確認する
保育園以外の施設との違いは?
保育園には認可と認可外があることが分かりましたが、他の施設とはどこが異なるのでしょうか?認定こども園・幼稚園・認証保育所の特徴を見ていきましょう。
認定こども園・幼稚園との違い
「認定こども園」とは、文部科学省と厚生労働省が管轄し、県が設置する施設のこと。幼稚園の他に保育園や認可外保育園も含まれています。対象となるのは満3歳以上で保育に欠けない子どもと、就学前で保育に欠けている子どもです。「幼稚園教育要領」及び「保育所保育指針」に基づき保育・教育を行ないます。
「幼稚園」は、文部科学省が管轄。公立は県教育委員会、私立は県が認可して設置されます。対象となるのは満3歳~就学前までの幼児です。保育時間は4時間が標準で、「幼稚園教育要領」に基づき保育・教育を行ないます。
認証保育所との違い
「認証保育所」とは、地方自治体が独自に運営する施設で、認可外保育施設に含まれます。例えば東京都では、国の基準を満たす認可保育園の設置が困難なことから、独自の基準が設定されました。都民の保育ニーズに応えられるように、0歳児保育が必須だったり、保護者が認証保育所と直接契約できたり新しい方式を採用しています。
認証保育所は大きく分けて2種類です。駅前基本タイプのA型は、定員数20~120人で、0~2歳が半数以上となっています。小規模・家庭保育所であるB型は6~29人で、0~2歳が対象です。
待機児童の状況と対策
仕事を持ちながら子育てをしたいと考えている人にとって、大きな障害となっているのが保育園に入れないこと。申込みをしても入園できないと職場復帰が実現できません。社会的な問題となっている待機児童についてご紹介します。
待機児童が特に多いのは1~2歳児
待機児童が問題となっていることは知っているけれど、具体的な数字は分からないという方も多いのではないでしょうか。待機児童数は地方自治体によって状況が大きく異なりますが、全体的に見ると特に待機児童が多いのは75.7%を占める1~2歳児です。受け皿拡大が急がれています。
1~2歳児の保育申込者数と、受け皿となる拡大見込み量を含んだ利用定員数の関係を見ていきましょう。2018年(平成30年)の申込者数は985,341人、利用定員数は942,704人でした。2019年(平成31年)は、利用定員数が974,866人に増えたものの、申込者数も1,010,900人と増加し待機児童の解消には及んでいません。
2020年(令和2年)の利用定員数見込みは1,030,409人で、申込者数見込みは1,034,533人です。2021年(令和3年)の利用定員数見込みは1,051,995人で、申込者数見込みは1,051,690人となり、待機児童が解消されると計画されています。
地域別に待機児童の状況を見てみると、全国のおよそ70%の市区町村では待機児童が0人と解消済みです。都市部ほど待機児童が多い傾向にあり、全体の60%ほどにあたる10,625人となっています。最も多いのが、東京都世田谷区で、2019年(平成31年)の待機児童数は470人です。
同じ東京都でも江戸川区では、2018年(平成30年)に440人だった待機児童が2019年(平成31年)は170人に減少。270人もの待機児童が解消されました。反対に、最も待機児童が増えているのは沖縄県那覇市です。2018年(平成30年)に138人だった待機児童が2019年(平成31年)は250人に増加しています。
待機児童解消に向けた取り組み
仕事をしたくても、保育園が見つからないと働くことは困難です。育児・介護休業法では、保育園に入園できない場合の救済措置として、1歳6ヵ月まで育児休暇の延長が認められています。さらに2017年(平成29年)の改正育児・介護休業法によって、最大2歳までの再延長が可能になりました。
保育園に入れなければ育児休業を延長するしか選択肢がないものの、社会復帰が遅れるのは不安なもの。ポジションがなくなったり、配属先が変わったりしないか焦る気持ちがストレスになってしまいます。
そこで、2018(平成30)~2020(令和2)年度までの3ヵ年計画として政府から発表されたのが、「子育て安心プラン」。女性の就業率上昇とともに保育の申込者数も増加していることから、就業率80%に対応するために、保育の受け皿をおよそ32万人分確保する内容です。
2018年(平成30年)4月時点の保育の受け皿は294.4万人分、申込者数は271.2万人で待機児童数は19,895人、女性の就業率は74.3%でした。2019年(平成31年)4月には、保育の受け皿が305.6万人分に増加。申込者数も278.4万人と増えたのに対して、待機児童数は16,772人と減少しました。調査開始以来最小の結果となり、女性の就業率も76.5%に上がっています。市区町村等の計画から、2020(令和2)年度末までにおよそ29.7万人の拡大が可能となる見込みです。
また、子育て安心プランを推進するためには、保育人材としておよそ7.7万人を確保しなくてはなりません。保育士の処遇改善や離職者の再就職、新規の資格取得者を促進、就業を継続できる環境作りなどといった総合的な支援も並行して進められます。
他にも、待機児童対策協議会の法定化によって、市区町村の取り組みを強化。自治体へは保育園設置のために改修費の補助基準額を増やしています。過去2年間で待機児童数が100人以上少なくなった自治体には、継続するための支援を続行。見込みよりも申込者数が上回って待機児童数が増えた自治体に対しては、ニーズを満たすための整備を促進するなど、特性に合わせた支援が強化されていきます。
※この記事は、2019年(令和元年)12月時点の情報に基づいて作成されています。
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