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2000年代の映画の特徴はDVDの登場とCG(コンピューターグラフィックス)による技術革新です。今まで映画館に通わなくては観られなかった映画が自宅で観やすくなり、またCG(コンピューターグラフィックス)という、コンピューターで非現実的な世界観を作る技術の発展により、映画製作の幅も広がりました。インディペンデントシネマ(大手映画会社を通らない作品)にとっても2000年代は幸運な時代。多数の自主製作映画が、著名な映画賞に候補作品として残り、本記事内の「メメント」もアカデミー賞候補になるなど世界中から注目を集めました。

明見 マイコと深井 映一
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2000年代のサスペンス映画集

2000年代のサスペンス映画集

2000年代のサスペンス映画は、「どんでん返し」や、結末に重要な事実が明かされるような映画が多く製作されました。本記事で取り上げる7作品も、最後の最後まで目が離せない、観客の予想を裏切る映画ばかりです。

洋画は、興行収入でも大成功を収めた特殊な構成の映画「メメント」に始まり、観客の恐怖を煽る「アザーズ」、「エスター」のホラー系作品、コメディー要素のある「マッチスティック・メン」と、スリラー趣向の強い「シークレット ウインドウ」をご紹介。邦画は、推理系と社会派サスペンスの2作品をご紹介致します。

アカデミー賞にもノミネートされたインディーズ映画「メメント

アカデミー賞にもノミネートされたインディーズ映画「メメント」

2000年(平成12年)に公開されたクリストファー・ノーラン監督の映画「メメント」

主人公はたった10分間しか記憶を保てず、あらゆる場所にメモやタトゥーとして事実を書き残し、それを頼りに殺された妻の犯人探しを行ないます。話が進むにつれて驚愕の事実が明らかになる、どんでん返し系サスペンス映画です。

ノーラン監督作品2作目、その上25日という短期間での自主制作映画だったにもかかわらず全米で異例の大ヒット。当初アメリカ国内の映画館11館でしか上映されなかった本作は、上映10週目には531館で拡大上映されるまでに至りました。

興行成績も全米8位にランクイン。のちに2002年(平成14年)のアカデミー賞ゴールデン・グローブ賞の候補作品にも残りました。

タイトルの「メメント」はラテン語で「形見、思い出の品」を意味し、物語の中心となる主人公の書き残しを示唆しています。

映画自体は監督の弟の詩「メメント・モリ」という作品に由来。話の展開と複雑な時系列が見どころで、何度観ても新しい気付きがあり、観る人を飽きさせません。また、予想外で解釈が分かれる結末も、観終わってからも議論の余地を残します。

主演はのちに「英国王のスピーチ」や「アイアンマン3」に出演するガイ・ピアース。また、ノーラン監督は「インセプション」や「インターステラー」といった大ヒット作品を後年に製作しています。

怪奇現象の正体に迫る ホラー系サスペンス映画「アザーズ

怪奇現象の正体に迫る ホラー系サスペンス映画「アザーズ」

2001年(平成13年)に公開された映画「アザーズ」は、主演にニコール・キッドマン、製作総指揮にトム・クルーズがかかわったホラー系サスペンス映画です。

ときは1945年(昭和20年)の第二次世界大戦末期。

広大な屋敷に子供と3人で住むグレース(キッドマン)は、ある日屋敷に現れた「使用人になりたい」と言う3人を雇いますが、それ以降、屋敷で次々と起こり始める怪奇現象。「アザーズ」(他の者たち)による怪奇現象の謎を解こうと奮起するグレースは最後に衝撃的な事実に辿り着きます。

ニコール・キッドマンの迫真の演技や、舞台となった館で起こる奇妙な現象は観ているこちらにも恐怖を与える一方で、独特の映像美と世界観も見どころです。暴力的で残虐なシーンは一切排除し、場面構成・カメラの動き・俳優の表情のみで心理的恐怖を与えることを特徴としている本作は、他のホラー映画とはひと味違う印象。

また、映画を通して統一された淡く暗い色使いを始め、蝋燭で照らし出された幻想的なシーン、館の屋内の映像も観る人に不思議な感覚を与え、独特な世界観を作り出します。

本作はスペイン・フランス・アメリカの合作映画で、スペイン人のアレハンドロ・アメナーバル監督は2004年(平成16年)にアカデミー賞外国語映画賞を受賞する「海を飛ぶ夢」も製作。

ニコール・キッドマンは「アザーズ」で2002年(平成14年)のゴールデン・グローブ賞において最優秀主演女優賞にノミネートされました。

潔癖症の詐欺師にご用心 「マッチスティック・メン

潔癖症の詐欺師にご用心「マッチスティック・メン」

2003年(平成15年)公開のコメディー系サスペンス映画「マッチスティック・メン」の主人公は、タイトル訳「詐欺師」という意味からも分かるように、ニコラス・ケイジが人を騙すペテン師の役を演じています。

本作は2002年(平成14年)発売の同名小説をもとに製作されました。潔癖症の詐欺師である主人公の人生に、ある日突如として現れた彼の娘だと言い張る女の子。

当初は驚き、娘の存在に慣れない彼ですが、次第に馴染みはじめ、「弟子になりたい」とせがむ彼女とふたりで様々ないかさまを仕掛けていきます。しかし、いかさまを仕掛けるうちに話はおもわぬ方向へ。

誰もが騙し、騙され、主演者全員を疑わずにはいられない、推理系サスペンスであり、ふたりの掛け合いに笑える要素もあるコメディー系サスペンスでもあります。

監督は2001年(平成13年)のアカデミー賞作品賞を受けた「グラディエーター」や、2001年(平成13年)に公開され話題になったサイコ系サスペンス映画「ハンニバル」も製作したリドリー・スコット。大変几帳面な性格で、本作製作時には、主人公に自身の神経質な性格を投影したと言われる程です。

14歳の娘役を演じたアリソン・ローマンはオーディション時22歳でしたが、「言われないと実年齢が分からなかった」と言ったリドリー・スコット監督は、見事に彼女に「騙された」のでした。

大ヒット作ではないですが、いまだにサスペンスファンから根強く支持される映画のひとつです。

ジョニー・デップ主演の推理サスペンス「シークレット ウインドウ

モダンホラー小説の巨匠スティーブン・キングの小説をもとにした映画「シークレット ウインドウ」は、ジョニー・デップ主演で2004年(平成16年)に公開されました。

妻との離婚問題で不調続きである作家の主人公のもとに、ある日「お前は俺の作品を盗んだ」と自身の作品の盗作を主張する男が現れます。徐々に男の要求や行動はエスカレート。主人公は彼の行動を止められるか、そして盗作と言い張る裏にある事実を明らかにすることはできるか、という推理系のサスペンス物語です。

映画の中で主人公が言う「ストーリーの1番重要な部分は結末だ」というセリフをまさに観る者が実感できる本作品。撮影はほぼ室内、登場人物もさほど多くなく、上映時間も96分と大作ではありませんが、キング独特の話の展開に加えて、若かりし頃のジョニー・デップが好きであれば、楽しめるサスペンス映画の1本です。

原作をすでに読破済みの方は、原作との違いに着目しながら鑑賞するのも違う感覚が味わえて良いでしょう。

また、映画で使用された音響は、著名なアメリカの作曲家フィリップ・グラスが担当しました。鑑賞の際には、サウンドトラックにも耳を澄ませてみましょう。

養女の奇怪な行動の裏に隠された真実とは ホラー系映画「エスター

養女の奇怪な行動の裏に隠された真実とは ホラー系映画「エスター」

15歳未満の入場・鑑賞を禁止する、いわゆる15禁という制限がかかっている2009年(平成21年)公開のホラー系映画「エスター」。

監督は「蝋人形の館」、「アンノウン」、「ラン・オールナイト」で知られるジャウム・コレット=セラです。実は著名なハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオも本作のプロデューサーとして参加しました。

物語は夫婦が孤児院から少女を引き取るところから始まります。引き取って以来始まった不可解な現象や、少女の奇妙な言動。養女に苦しめられる夫婦はどうしていいか分からず追い込まれていきます。幼い少女は徐々に本性を現していき、結末で様々な出来事の裏側に潜む真実が明かされますが、観客の多くが予想外のところを突かれた本作。

養女の母親役を演じたヴェラ・ファーミガは、アカデミー賞にもノミネートされたベテラン女優で、後年ホラー映画「死霊館」シリーズにも出演しました。

養女を演じたのは撮影当時12歳の女優イザベル・ファーマン。抜群の演技力で観客をサスペンスの世界へと引き込みます。

奇妙な友情が織りなすミステリー 「アヒルと鴨のコインロッカー

日本を代表する小説家・伊坂幸太郎の小説をもとにした映画「アヒルと鴨のコインロッカー」は2007年(平成19年)に公開されました。

2016年(平成28年)には舞台版も制作された作品。主演陣に瑛太濱田岳松田龍平を迎えた本作は、瑛太演じる奇妙な隣人と、彼の隣に住む新入大学生の主人公(濱田岳)との不思議な友情の話。ホラー要素はなく、推理系のサスペンス映画です。

ボブ・ディランが好きという共通点を持つふたりは意気投合。主人公は、隣人の“同じアパートに住むブータン人に広辞苑を贈るため本屋を襲う”という謎の依頼を引き受けます。

本屋襲撃を実行後、話は複雑な展開を迎えていき、主人公は真実を解明しようと模索。最後まで目が離せない本作。出演者の複雑な人間模様と関係性が観客の好奇心を煽ります。

タイトルの“アヒル”は、外来種であり、この物語で大切な役割を担うブータン人を表し、“鴨”は日本古来の品種で他の登場人物を表現。

また、“コインロッカー”についてもボブ・ディランの曲と登場人物に関連性がありますが、結末に触れる事項なので、作品を最後まで鑑賞して意味を探してみましょう。

監督は「チーム・バチスタの栄光」、「映画 怪物くん」等を製作した中村義洋です。

他人事ではない社会問題を鋭く描く「それでもボクはやってない

2007年(平成19年)公開の話題作「それでもボクはやってない」は、上映開始後、物議を醸した社会派サスペンス映画です。

会社の面接に向かう主人公はある日電車内で痴漢に間違えられます。嫌疑を否認するも、示談に持ち込もうとされ、主人公は裁判を行なうことを決意。以降、判決が出るまでの過程や、主人公が無実を勝ちとろうとする闘いをまざまざと見せ付けられます。

2007年(平成19年)のアカデミー賞外国語映画部門に日本代表作品として応募し、国内でも数々の賞を受けた本映画。

実際に発生した痴漢冤罪事件をもとにし、日本社会のあり方や、法制度、刑事裁判に焦点をあて、痴漢冤罪にまつわる実在の逸話を挿入した本作は、痴漢冤罪の被害者を生々しく描いています。

監督は「Shall we ダンス?」の周防正行。主演に、加瀬亮、他出演陣に役所広司竹中直人瀬戸朝香山本耕史を迎えています。

※この記事は、2018年2月時点の情報に基づいて作成されています。

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