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路面電車に関する基礎知識をまとめています。路面電車が生まれて広まっていった歴史、魅力についてご紹介。主要な全国の路面電車紹介や、次世代型路面電車システム「LRT」についても触れ、路面電車のこれからの未来にも注目していきます。

乗川 哲男と乗川 道子
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路面電車の基礎知識と魅力を紹介!

路面電車の基礎知識と魅力を紹介!

明治から戦後にかけて、日本中で多く見かけた路面電車。高度成長期にマイカーブームが起こってから、一時的にその規模は縮小していきました。しかし90年代に入ると、環境保護の観点から見直されて、もう一度路面電車を復活させようという動きも。この記事では、路面電車の基礎知識と、全国で今でも現役で走る路面電車、次世代の路面電車について紹介します。

路面電車とは?鉄道との違いはどこ?

路面電車とは、道路上を走る電車のことです。道路上には線路だけでなく、人が乗り降りする停留所もあります。自動車と共存して走っている路面電車は、かつて日本中で走っていましたが、マイカーが増えた高度成長期以後にはどんどん廃線となってしまいました。路面電車と鉄道の違いはどの点にあるのか、法律も紐解きつつ解説します。

一般道路を走る路面電車と専用の線路を走る鉄道

路面電車と鉄道の大きな違いは、敷設する場所を定義している法律が異なる点です。路面電車は「軌道法」と言う法律の第2条により、「軌道ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ道路ニ敷設スヘシ」と道路へ敷設するように定義されています。

一方、鉄道は「鉄道事業法」第61条に「道路への敷設の禁止」が定義されており、路面電車とは逆で、鉄道線路を道路へ敷設してはいけません

つまり、一般的に路面電車と鉄道の明確な相違点は、道路上に線路を敷設していいかどうかという点です。線路の幅車両の大きさ乗客数なども路面電車の方が小さく、1両当たりの輸送人数も路面電車の方が少なくなります。

路面電車に関する交通ルール

もうひとつ、鉄道と大きな違いがある点で言えば、路面電車には道路交通法によって定められた交通ルールが多いことです。

道路交通法第21条では、軌道敷内の通行について基本的に車両はやむを得ない場合を除き通行してはならず、やむを得ず走行する場合も路面電車優先と定められています。

路面電車は道路上を走っているので、自動車で右折するときはどうしても軌道敷内に入る必要があります。そのため、路面電車の走っている道路に慣れていない人にとって、路面電車そばでの運転は大変かもしれません。

また、路面電車で乗客が乗降する場所のことを「安全地帯」と呼びます。安全地帯の多くは、大きな道路の真ん中に設置され、人の往来が多くなるため、自動車でそばを通行する場合は徐行が必要です。車両が安全地帯に入ることは禁止されており、安全地帯の左側・前後10mでは駐停車も禁止されています。

減少しつつも全国17都市で現役

多くの路面電車が廃線となりましたが、現在でも17都市で路面電車が現役で運行中です。

北海道・東北エリアでは、北海道だけが札幌市・函館市にて路面電車を運行しています。

関東・甲信越・北陸エリアでは東京都(荒川区、北区、新宿区、世田谷区、豊島区)、富山県(富山市、射水市、高岡市)、福井県(福井市、越前市、鯖江市)などが路面電車の残っている都県です。特に富山県は、LRT導入の成功事例として近年注目されています。

東海エリアでは、愛知県(豊橋市)が路面電車を運行しており、街のシンボルとして愛されています。

近畿エリアでは、大阪府(大阪市、堺市)、京都府(京都市)、滋賀県(大津市)などが路面電車の残っている府県です。

中国・四国エリアは、広島県(広島市)、岡山県(岡山市)、愛媛県(松山市)、高知県(高知市、南国市、吾川郡いの町)と、比較的多くの県で路面電車が走っています。特に広島市は路線が多く、市民の足として路面電車が今も活躍中です。

九州エリアでは、長崎県(長崎市)、熊本県(熊本市)、鹿児島県(鹿児島市)で路面電車に乗ることができます。

路面電車に興味のある方は、これらのエリアに出向いて路面電車に乗ってみるのもおすすめです。

路面電車の魅力3つ

路面電車の魅力3つ

路面電車と鉄道の違いについて見てきましたが、路面電車特有の魅力について、3つにまとめました。

ゆったりと走るスピードで街の様子が眺められる

路面電車は街中を走っているため、その街の様子をしっかり見ることができる点が大きな特徴です。鉄道よりもさらに「街に近い」車窓で、街の雰囲気を感じることができます。

路面電車の運行は、鉄道はもちろんのこと、自動車よりも遅いスピードです。目的地に一刻でも早く到着したい人にとってはややじれったく感じる程のスピードと言えますが、ゆっくりとしたスピードだからこそ見える風景もあります。

道路からバスのような感覚で乗り降りできる

路面電車の乗降は段差や階段が少なく、バスの乗り降りと似たような感覚で利用できます。電車や地下鉄の駅は、階段の上り下りを伴うことが多く、エレベーターやエスカレーターが近くにないとやや不便です。一方、路面電車の利用にはこのようなストレスがないという点も魅力と言えます。

また、路面電車の車内はバスと比べても段差が少なく、移動しやすい点も魅力です。バスの場合、車内に車輪部分のでっぱりがありますが、路面電車は鉄道と同じく車内に凹凸はありません。車内の快適性という鉄道の良い点と、乗り降りしやすいバスの良い点を併せ持っているのは路面電車ならではと言えます。

ノスタルジックな鉄旅が楽しめる

路面電車を使った旅行は鉄道好きや写真好きの人にとっても楽しい旅です。最盛期より数を減らしている路面電車との出会いは貴重な経験。街の風景と溶け込んでいる昔ながらの路面電車は、被写体としても素敵な素材になります。住宅街の中をゆったりと走り抜けて観光地に辿りつく路線や、街中を気軽に巡ることができる路線など、沿線の個性も豊かです。

日本における路面電車の歴史

日本における路面電車の歴史

日本における路面電車の歴史は、明治の文明開化とともに始まりました。路面電車はどのような経緯で日本に取り入れられ、定着したのでしょうか?その歴史について解説します。

初の路面電車、京の街を走る

1890年(明治23年)の第三回内国勧業博覧会に、日本で初めて電車がお目見えします。そこから5年後の1895年(明治28年)2月1日。琵琶湖から京都まで引いた疎水を利用した、水力発電所の電気により、日本初の路面電車が京都市街を走り抜けました。

日本初の路線「伏見線」は、民営の京都電気鉄道会社が開設。今のJR「京都」駅に当たる七条停車場と、現在の京阪電車「伏見桃山」駅と「中書島」駅の間にあたる下油掛町(しもあぶらかけちょう)との間を結ぶ路線です。

1912年(明治45年)6月、京都市営の路面電車も開業し、京都電気鉄道会社との競争が起こります。その後1918年(大正7年)7月に京都市が京都電気鉄道会社を買収し、昭和30年ごろまで路面電車の黄金時代が続きました。

明治から昭和までの全盛期

京都で路面電車が開業を迎えた後、名古屋や大阪といった大都市や、観光客が多く訪れる場所に次々と路面電車が開通していきます。明治時代から大正時代にかけ、日本全国に路面電車が広がっていきました。

路面電車が一度目のピークを迎えたのは昭和初期のことです。その後、第二次世界大戦の最中は資材の軍事転用や、不要不急路線として撤去されてしまう事例もあり、路面電車は一時的に後退します。

しかし、1945年(昭和20年)8月に終戦を迎えた後、路面電車は復興のシンボルとして再び整備され、市民の足としての地位を取り戻しました。戦後は、路面電車が迎えた二度目のピークと言えます。

自動車時代の到来で1970年代に激減

戦後しばらくして路面電車の命運を大きく左右する時代が訪れます。その時代とは、高度成長期です。日本国民全体の所得が向上し、自家用車に乗る人が増えました。その結果、道路には自動車があふれ、路面電車の運行が難しくなります。

さらに、バスや鉄道の整備により路面電車の利用者数も激減します。これらの複合的な要因により、徐々に街から路面電車が消え、現在の状態になりました。

日本初の路面電車として営業を続けていた京都市電も、1978年(昭和53年)9月30日に全廃を迎えました。その後、路面電車の敷石として利用されていた良質な御影石は様々な場所に転用されています。東山の観光名所である二年坂・産寧坂(さんねいざか)や、祇園の石塀小路(いしべこうじ)などは、京都市電の敷石を再利用した物です。

これらの観光スポットを訪れたときは、かつて京都の街を走っていた路面電車に想いを馳せるのも一興と言えます。

地球温暖化の対応で再び注目を浴びるように

すっかり数を減らした路面電車ですが、自動車の排気ガスによる地球温暖化が問題となった1990年代に、再び脚光を浴びることとなります。

自動車が大きく普及した結果、都市問題として大気汚染道路の渋滞などが注目され始めました。そこで、環境に優しい乗り物として路面電車に注目が集まったのです。

現在、路面電車は次世代型路面電車「LRT」(Light Rail Transit)として、各地で導入が検討されています。

全国の路面電車大集合!その特徴を紹介

全国の路面電車大集合!その特徴を紹介

ここからは、全国の路面電車の中から特徴のある路線をご紹介します。路面電車が走る街に旅行などで立ち寄る予定がある場合は、ぜひ路面電車に乗ってひとときの旅情を楽しんでみてはいかがでしょうか?

札幌の中心街を走る「札幌市交通局・軌道線」

かつては西4丁目から住宅街をぐるりと経由してすすきのを終点としていた札幌市交通局・軌道線。2015年(平成27年)12月20日より、西4丁目からすすきのまでの400mをつないでループ化しました。札幌一の繁華街であるすすきのや狸小路と西側の住宅街をつなぎ、市民の足としてより便利になりました。

路面電車は、雪の多い札幌で地下鉄を補完する路線として、多くの人が活用。2013年(平成25年)に投入された新型低床車両は、「ポラリス」という愛称で親しまれています。

日本初のLRT「富山ライトレール」

次世代型路面電車システムであるLRTの成功例として名前の挙がる「富山ライトレール(ポートラム)」。JR西日本の富山港線を引き継ぐ形で、2006年(平成18年)より運行を開始しました。JR「富山」駅北口から、北前船の寄港地として栄えた岩瀬浜までをつなぐ7.6kmの短い路線です。

さらに、2020年(令和2年)3月、市内を循環している路面電車「セントラム」などとの相互乗り入れが決まりました。富山市が推進している「コンパクトシティ」構想の一環である施策のおかげで、沿線の住民にはますます便利に。LRTの効果は、現在も数字として現れていますが、その効果がさらに高まるのではと期待されています。

都電として親しまれる「東京都交通局・荒川線」

東京都で唯一残る都電として、「さくらトラム」と言う愛称で親しまれている荒川線。三ノ輪橋から早稲田までの12.2kmをのんびりと運行しています。沿線には観光スポットも多く、1日乗車券で都内の風景を楽しみつくす利用方法も可能です。

春なら早稲田から面影橋にかけての神田川沿いの桜並木が見事で美しく、シーズンには多くの人が訪れます。庚申塚で下車すれば、巣鴨商店街で食べ歩きを楽しむこともできます。

住宅街を抜けて嵐山へ向かう「京福電鉄」

「らんでん」の愛称で親しまれる京福電鉄嵐山線。四条大宮から嵐山までの間を名所旧跡・住宅街など、バラエティに富んだ車窓を楽しみながら移動できる路面電車です。住宅のごく近くを通り抜けた後、だんだんと嵐山に近づくにつれ風景が変わる眺めは楽しく、飽きることはありません。

沿線は有名な神社仏閣が多く、乗車券と拝観チケットがセットになったお得なきっぷの発売が多い点は、観光都市・京都ならではと言えます。

終着駅は、嵐山エリアでも観光スポットの多い天龍寺の前。嵐山観光の拠点としても便利です。

路面電車の博物館!全国最大級の「広島電鉄」

広島電鉄は軌道線6路線、鉄道線1路線から成り、全国でも最大規模の軌道線を保有しています。広島市は土壌の関係から地下鉄の敷設が難しく、昔から市民の足として路面電車が活躍してきました。

他の都市で廃止となった路面電車の車両を購入して路線に投入しているため、「路面電車の博物館」と呼ばれることも。神戸市電・大阪市電・京都市電などの懐かしい車両や新型車両なども入り交じり、様々な車両が広島の街を走り抜けています。

坊ちゃん列車がレトロかわいい「伊予鉄道」

軌道線の松山市内線と鉄道線の郊外線から成る伊予鉄道。松山市内線はJR「松山」駅から中心街の大街道、観光地の道後温泉の間を運行しています。

坊ちゃん列車」はとてもコンパクトでレトロかわいい蒸気機関車で、伊予鉄道開業から67年間もの間、実際に活躍していた蒸気機関車をディーゼル機関で復刻したモデルです。名前は夏目漱石の「坊ちゃん」にちなんで名付けられました。

今後広がる?次世代型路面電車システム「LRT

今後広がる?次世代型路面電車システム「LRT」

富山ライトレールの成功で、導入を検討している自治体も多い次世代型路面電車システム「LRT」。従来の路面電車とはどのような点が違うのか、LRTを導入する具体的なメリットなどについて紹介します。

LRTは従来の路面電車とどこが違う?

従来の路面電車よりも乗り降りがしやすく、快適で速達性などを重視した新型の路面電車のことを「LRT」と呼びます。

これまでは、マイカーや路線バスなどでの移動が増加してきたため路面電車は廃れていました。しかし、自動車が増えることで大気汚染の問題が大きくなり、道路の渋滞も深刻化。その中で排気ガスを出さず、高齢者にも乗り降りがしやすい低床車両などを活用できる路面電車の良い点がさらに強化され、LRTが誕生したのです。

LRTを導入するメリット

LRTを導入するメリットは主に5つあります。まず「交通環境に対する負荷の軽減効果」及び「交通方法の転換による交通環境の円滑化」の2つは、相互に作用しあって生まれるメリットです。自動車からLRTに乗り換えることで、マイカーが減少して道路環境が良くなるとともに大気汚染も軽減されます。

3つめは「移動手段のバリアフリー化」です。低床式車両に加えて停留所も段差を無くすことで、バリアフリー移動を実現できる点もLRTのメリットと言えます。

4つめは「公共交通機関の相互ネットワークの充実」です。既存の公共交通機関との接続を良くすることで、地域の利便性がアップします。

ここまでの利点がすべてうまく回ることで、最終的に5つめのメリットである「魅力ある都市づくりと地域全体の再生」が実現。利便性の高い市街地に多くの住民が居住することで、市街地の住みやすさがアップし、街が活性化します。

このように、LRT導入は、「コンパクトシティ化による地域再生・活性化にもつながる」と期待が寄せられている状況です。

国のLRT導入支援策

国もLRT導入による地域の活性化を期待して「LRTの整備に対する支援」を策定しています。この政策はハード整備の支援だけでなく、速達性や輸送性の向上、まちづくりとの連携など総合的な支援を行なうことで地域の再生を目指す内容です。

複数の自治体がLRTの導入を検討する中、富山市に続いて栃木県宇都宮市が「宇都宮ライトレール」の開業を予定しています。現状では数の少ない路面電車ですが、将来的には多くの地域で路面電車が走っている状況が訪れることにも期待ができます。

※この記事は、2019年(令和元年)10月時点の情報に基づいて作成されています。

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