実にリッチな美術館
非常にユニークな形の美術館です。駐車場からアプローチしますとカラマツの森の中を散策するように設計されております。その森の中にはあちこちに彫刻がちらほら見えるように配備されており、敷地全体が美術館のように設計されているようです。清水多嘉示という、この村出身で大学教授まで勤められた彫刻家の作品展示と、この地域に多く発見されている土器類の常設展示を目的とした美術館だそうです。私はこの建物の設計者である村野藤吾に強い関心があり、建物を観に来たのが本来の目的でしたが、その展示内容が非常に素晴らしいものでした。もちろん、作品等をよりよく見せるための設計を心がけているという経緯もここにきてよく理解できました。建物が半円形の連続で構成されている理由には、「壁や天井によってできる縦横の「直線」が作品をよりよく見せるには非常に邪魔である」という理由があるとの事でした。また、天井から直接的に照明が照らさないように、天井全面にレースカーテンが垂れ下がっているのです。これがまた上品であり、ほかにない設計デザインなのです。細かいところまで設計者の息がかかっており、40年経った今でも地域に愛されている施設だと感じました。