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何でも気軽に相談できる、
総合医療の窓口でありたい

おおすきクリニック 院長大漉 祐己先生

今回インタビューを受けていただいたドクターは、おおすきクリニック、院長の大漉祐己(おおすきゆうき)先生です。大学病院の総合内科で救急医療や集中治療の経験を重ね、2023年(令和5年)に地元の愛知県一宮市で開業。内科、外科、小児科を標榜し、在宅診療にも取り組み、幅広い症状を診る地域の総合診療所を目指しています。あらゆる症状を「広く深く、専門的に診療したい」という診療方針や、生活習慣病を重症化させないための取り組みなどについて伺いました。

おおすきクリニックの施設情報

明るく開放的なクリニックですね。設計や内装には大漉先生の希望やアイディアが反映されているのでしょうか。

明るく開放的なクリニックですね。設計や内装には大漉先生の希望やアイディアが反映されているのでしょうか。

機能面では、開業が2023年(令和5年)で新型コロナウイルス感染症の感染拡大を経験していましたから、発熱患者さん専用の診察室を設けて、新型コロナウイルスやインフルエンザに感染している疑いのある方が、他の人と接触せずに受診できる設計にしたいとリクエストしました。

もうひとつは、ドライブスルー診療の設備です。この設備でも、人との接触を避けたい症状のある方が車から降りずに診療や検査を受けられ、処方薬の受け取りもできます。

また、デザイン面は私の好きなディズニーランドの雰囲気をヒントにしました。病院は本来楽しい場所ではありませんが、ディズニーランドが子どもも大人も楽しめるように「あのクリニックなら行きたい」と思ってもらいたいと考えたのです。

ただし、ディズニーランドをコピーしたのではなく、内装や案内表示に、よく見るとディズニー映画のワンシーンを思い起こさせる隠しテーマを散りばめています。来院するたびに新しい発見をして、元気な気持ちになってもらえたら嬉しいですね。

勤務医時代に総合内科を経験されて、こちらのクリニックでも「総合医療の窓口」を目指していらっしゃいますね。幅広い症状に対応する総合的な医療は新しい流れなのですか。

勤務医時代に総合内科を経験されて、こちらのクリニックでも「総合医療の窓口」を目指していらっしゃいますね。幅広い症状に対応する総合的な医療は新しい流れなのですか。

アメリカでは日頃から何でも相談できる、身近な医師による総合的な医療、プライマリ・ケアが一般的で、主に開業医がその役割を担っています。より専門的な治療のできる医療機関でも、まず総合診療部門が診療し、専門科の医師と協力しながら治療にあたるのです。

日本もこうした医療のあり方を整備中ですが、私が勤務していた藤田医科大学病院の救急総合内科は、救急診療から専門的な集中治療まで担う医療を早くから実践していました。

また、2020年(令和2年)に、客船ダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナウイルスに感染した乗客を受け入れた際には私も治療に参加して、ひとりも2次感染者を出さなかった実績があります。

そうした経験を活かして、当院は感染症や急性症状も含めて、どんな病気も広く深く診られる、医療の最初の窓口になりたいですね。その上で、当院に通院してもらう方と、専門的な医療機関を受診してもらう方を適正に振り分けて、総合病院の負担や待ち時間を解消するのも役割だと考えています。

それが、大漉先生の目指していらっしゃる「1.5次医療」でしょうか。

それが、大漉先生の目指していらっしゃる「1.5次医療」でしょうか。

本当は「1.5次医療」という言葉はなくて、私の造語なのですが(笑)、1次医療は一般的な病気や外傷の診療で主に地域のかかりつけ医の役割です。

2次医療は入院医療や専門外来医療のことで中核病院が担い、3次医療は特殊で先進的な医療のことで大規模病院が提供しています。

この分類ならば当院は1次医療機関になりますが、私は2次医療の手前、中等症くらいまでの患者さんも診ることで、地域の大きな病院の医療が滞らないようにしていきたいです。

例えば、肺炎と診断されたら即入院というイメージがあるかもしれませんが、患者さんの年齢や酸素を体内に取り込む力によっては通院治療が可能なケースもあります。その見きわめができる経験と検査機器を備えていますし、クリニックの設計は救急搬送された方がストレッチャーのまま診察室まで入れるようにしました。

1次医療より踏み込んだ医療も安心して受けられるクリニックでありたい、という意味で「1.5次医療」を提唱しています。

総合医療には診療だけでなく、健康増進をサポートすることも含まれるのですか。

総合医療には診療だけでなく、健康増進をサポートすることも含まれるのですか。

もちろんです。充実した医療保障制度を守るためにも、一人ひとりが病気を予防し、健康を維持してほしいと思います。そのためには普段から血圧や血糖値を意識し、コントロールする必要のある方は改善に取り組んでいただきたいです。

その一環として2024年(令和6年)6月から、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの患者さんについては療養計画書の作成が義務付けられました。

この計画書には血圧や体重、食生活、運動の目標やスケジュールを記載します。医師と患者さんが目標を共有して、一緒に生活改善に取り組み、重症化を予防するのが目的です。

私は療養計画書を作成するときに「毎日の食事は誰が作っていますか」ということも聞いています。ご家族が食事を作っている場合は、調理をする方にも療養計画を理解してもらい、塩分や糖分の調整に協力していただきたいからです。

また、運動してほしい方に最初から「毎日、ウォーキングをしましょう」と言うのではなく「歩いて通院してみませんか」と提案することもあります。

生活改善をすぐには習慣にできない人もいますから、コミュニケーションを深めて、「この院長が言うなら、やってみよう」と思ってもらえる信頼関係を築きたいですね。その結果、服薬を減らせるケースが増えれば、医療財政の課題解決にも繋がると考えて取り組んでいます。

スタッフのみなさんに心がけてもらっていることや、スタッフが働きやすいように工夫されていることを伺いたいです。

スタッフのみなさんに心がけてもらっていることや、スタッフが働きやすいように工夫されていることを伺いたいです。

スタッフには、患者さんは助けを求めて来院されるのだから、来たときよりも安心して帰ってもらえるようにしてほしいと伝えています。

なかには「この程度の不調で受診していいだろうか」と気後れしながら来院する人もいるでしょう。そういう方にもスタッフが「こちらで判断しますから受診してください」という気持ちで接してくれていますし、その結果、重症でないと分かって安心してもらえれば何よりです。

そして、スタッフには有給休暇取得率100%を目指してもらっていますし、お子さんが熱を出したときなどは気兼ねなく休んでもらいます。休みやすい職場ほど、他のスタッフが休むときに頑張れるはずですからね。

また、子育て中のスタッフに安心して働いてほしいので、保育士さんに常勤してもらって院内託児所を始めることにしました。医療現場は女性の活躍に支えられていますが、結婚や出産を機に働き方を変えたい人もいますから、それぞれのライフスタイルを優先しながら長く働ける職場にしたいと考えています。

今後の展望や読者へのメッセージをいただきたいです。

今後の展望や読者へのメッセージをいただきたいです。

当院は在宅診療も行っていることを地域のみなさんにもっと知っていただきたいと考えています。

当院の在宅診療の強みは、在宅患者さんの具合が良くないときは、クリニックへ移動して検査や治療を受けてもらえることです。

そういうケースに備えて、往診車は患者さんを搬送できる装備を整えています。街中で当院の往診車を見かけたら、在宅診療という選択肢があることを思い出してもらえるように認知拡大に力を入れたいです。

また、新たに診療看護師がスタッフに加わることになりました。この資格を持つ看護師は問診や検査、薬の処方も行えるので、迅速で安全な医療に貢献してくれると期待しています。こうしたスタッフと一緒に、どんな症状にも対応していますので気軽に相談してください。

病院名・役職はインタビュー当時のものです。
インタビュー:2025年2月5日

経歴

2011年

鹿児島大学 卒業

2011年

協立総合病院 研修医

2013年

藤田保健衛生大学 救急総合内科 助手

2015年

藤田保健衛生大学 救急総合内科 助教

2017年

名古屋記念病院 救急科 外来医長

2018年

藤田保健衛生大学 救急総合内科学 助教
※2018年10月藤田医科大学名称変更

2021年

一宮市立市民病院 救急科(小児も含む)医長

2023年

おおすきクリニック開業